変形性関節症(OA)の痛みはなぜ起こるのでしょうか?
変形性関節症(OA)は、年齢を重ねることなどが原因で、関節の軟骨がすり減ってしまう病気です 。国内では、膝のOAの患者さんが推定2,500万人、股関節のOAの患者さんが推定1,200万人いるとされており、関節の痛みによって生活の質(QOL)が低下することが大きな問題となっています。
OAの痛みの主な原因
OAの痛みの主な原因は「炎症」と「末梢神経の感受性亢進(感度が高まること)」です
- 関節内で何が起こっているのか?
- OAが進行すると、関節を包む滑膜や軟骨の細胞から、炎症性サイトカイン(IL-6やTNFαなど)や、血管内皮増殖因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、蛋白分解酵素などの物質が放出されます。
- これらの物質は、関節内の炎症を悪化させたり、軟骨をさらに破壊したりします 。
- 軟骨が分解されることで、「DAMPs(ダメージ関連分子パターン)」と呼ばれる軟骨分解物も放出されます。
- 「侵害受容器」とは?
- 私たちの体には、痛みや危険を察知するためのセンサーがあり、これを「侵害受容器」と呼びます 。
- このセンサーは、骨膜や軟骨下骨、滑膜などに分布している末梢神経の先端に存在します。
- なぜ痛みを感じやすくなるのか?
- 炎症によって放出された物質やDAMPsが、この侵害受容器の感度を高めてしまいます。
- その結果、通常なら痛みを感じないような軽い刺激(立ち上がったり、動き出したりする動作)でも、強い痛みとして感じてしまうようになります。これを「末梢神経感作」といいます。
当院の治療法:DAMPsの発生を抑える「固定」
OAの痛みを和らげるためには、炎症を抑え、侵害受容器の感度を上げている原因を取り除くことが重要です。
当院では、OAの痛みの原因の一つである「DAMPs(ダメージ関連分子パターン)」の発生を抑えることを目的とした治療を行います。DAMPsは、軟骨がメカニカルストレスによって分解されることで放出されます。
そこで、関節を「固定」することで、関節への不必要な機械的ストレスをなくし、軟骨の分解を防ぎ、DAMPsの発生を抑制します。これにより、痛みの原因を根本から見直し、痛みの連鎖を断ち切ることを目指します。
